イオン液体を使うことで安全な電池を作ることが可能になりますが、イオン液体は文字どおり『液体』なので、電池から液漏れが起きてしまう可能性があります。薄い大きな平板タイプの電池を作ろうとすると、電池の中で液体が偏ってしまう恐れもあります。
そこで、イオン液体に少しの硬化剤を加えて、寒天のように固めてしまおうと考えました。コンニャクや寒天、グミキャンディーの様に液体を含んで固まった状態の物質を『ゲル』と呼びます。固めることを『ゲル化』と呼びます。
イオン液体を固めるためにイオン液体の接着剤を合成しました。イオン液体の性質を持ちながら、いろいろな物質と反応することが出来る反応性を持ったイオン液体です。『イオン液体モノマー』と呼ばれる物質です。
これらはイオン液体モノマーがどんどん繋がっていってヒモ状分子(ポリマーと呼ばれる)になる性質があります。イオン液体モノマーが繋がったヒモが出来るときに、ヒモの結び目の役割をする架橋剤と呼ばれる物質を加えておくと、ヒモ同士が結び合った網状の構造が発生します。この網の中に液体が補足された状態を『ゲル』と呼びます。(この場合の液体はイオン液体です)
イオン液体ゲルとは・・・
イオン液体をモノマーとし合成する▼
イオン液体ゲルの作り方
すなわちイオンゲルである
当研究室では、イオンゲルを使ったリチウムイオン電池の研究開発をしています。
研究室で試作したイオンゲル電池は、ポリマー型リチウムイオン電池としては
世界最高レベルの放電性能(40℃において、3C放電時の放電容量が0.1C時の83%)
を示しました。
60サイクルの充放電試験でも容量劣化は認められませんでした。