充電⇔放電を繰り返して使うことの出来る電池を「二次電池」と呼びます。
中でも「リチウムイオン電池」は小さなサイズで多くの電気を蓄えることが出来るため、パソコンや携帯電話などの電源として私たちの生活に無くてはならない電池になっています。
しかしながら2006年秋にノートパソコンに使われていたリチウムイオン電池の発火事故が起きました。電池に引火性物質が使われていたからです。これがきっかけとなり、現在では安全な燃えないリチウムイオン電池の登場が望まれています。
リチウムイオン電池の問題点として・・・
- 温度変化に弱い(低温でも高温でも使えない)
- 500サイクル位の充放電をすると蓄電量が低下してくる
- 大きな電流での充放電が巧くいかない
(出力特性が低い、充電に時間がかかる) - 誤使用によって、破裂、爆発、発火することがある
- 電解液が漏れる
以上のことから、燃えないリチウムイオン電池にするためには、電池の中に入っている可燃性液体を解決しなければなりません。
⇒そこで、燃えずに電気を伝える『イオン液体』が適切と考えられます。
当研究室では、電池の正電極と負電極の間に微細な孔の空いた多孔シートを挟み、そのシートの中にリチウムを溶かしたイオン液体を浸みこませ、リチウムイオン電池を作りました。
この電池は、100回以上の充放電を行ってもほとんど劣化しません。低温では性能が低下しますが、イオン液体は耐熱性が高いので100℃でも使用することが可能でした。
イオン液体を使えば、高温でも使用出来る燃えない安全なリチウムイオン電池が出来そうです。
燃料電池や太陽電池への利用など、イオン液体はこれから実用化が進んで行く最もホットな化学材料と言えるでしょう。人類が初めて手にした新素材が新しいものつくりを拓いていくものと期待しています。
当研究室では、イオン液体を電解質として用いる、燃えないリチウム電池の研究開発を行っています。