2017年2月22日 鶴岡工業高等専門学校 創造工学科 化学・生物コース上條利夫准教授(筆頭著者)、荒船博之准教授、森永隆志准教授、佐藤貴哉教授(責任著者)の研究成果が世界最大のオープンアクセス出版社INTECHに掲載されました。
「Behavior of Ionic Liquids Under Nanoconfinement Greatly Affects Actual Friction」
“ナノ空間での分子のふるまいが、実際の摩擦に大きな影響を与える”
( 上條 利夫¹ 、 荒船 博之¹、 森永 隆志¹ 、佐藤 貴哉¹、 栗原 和枝²
¹ 鶴岡工業高等専門学校、² 東北大学 )
今回,INTECH社より依頼を受け、 “Progress and Developments in Ionic Liquids”(書籍タイトル)の一章として、これまでの研究成果(2015年にLangmuir誌に掲載)と基礎的メカニズムを加えた解説書を提案しました。この章は審査後採択され、掲載に至りました。
本書籍は誰でも入手できるOpen Access bookとなっているため、研究成果の更なる波及効果が期待されます。これまで本学では佐藤貴哉教授により、同出版社より2件の書籍が出版されており、研究成果の拡大、共同研究へとつながっています。
ナノメートル(※)サイズからなる狭い空間でのイオン液体の振る舞いが実機スケールでの潤滑特性に影響を及ぼすことが判明、イオン液体の潤滑メカニズム解明に期待。
近年、イオン液体は化学的安定性の観点から、高温、低温、宇宙などの真空条件下で使用できる潤滑剤として期待され研究が進められています。
しかし、その潤滑メカニズムについては多くの未解明な部分があります。
本研究では、ナノスケールでの液体の特性が評価できる共振ずり測定装置と実機スケールでの潤滑特性を評価できる摩擦試験装置を用いて脂肪族系イオン液体の潤滑特性を評価しました。
その結果、シリカ(ガラス)表面間におよそ2 nmのナノ空間に閉じ込められたイオン液体の局所粘性特性が、実機スケールにおける摩擦摺動面の潤滑性能に影響を及ぼしていることが明らかとなりました。
本研究成果によってイオン液体を潤滑剤として新たに利用する方法を見出し、エネルギーロス低減に繋がるものと期待できます。
(※)ナノメートル…1ナノメートルは10億分の1(10-9)メートル
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